2021.043
花紀行
みなさんは、荒井由実さん(今は松任谷由美さん)の、「コバルトアワー」というアルバムをご存知ですか。
このアルバムは1975年に、3枚目のオリジナルアルバムとして発売された、由美さんの代表作です。
近年、70年代後半から80年代に渡って発表されたシティポップが、国内のみならず海外でも再注目を集めブームになっていますが、
このアルバムは、その源流とも言える歴史的名盤です(あの名曲「卒業写真」も、初めて収められたアルバムなんですよ)。
そして、このアルバムの3曲目に収められているのが「花紀行」という曲です。
この曲は、金沢の街に魅せられて10代のころから何度も足を運んでいた由美さんが、
ある日、金沢の主計町のほとりを流れる浅野川に舞い散る桜の花びらの光景を見て
作られた曲なのです。
見知らぬ町を ひとり歩いたら
風は空から 花びら散らす
過行く春の投げる口づけは
髪に両手に はらはら停まる
と歌い始めるこの曲は、当時二十歳を少し超えたばかりの、
由美さんの繊細で優しい感性に包まれた、とてもすてきな曲です。機会があれば是非聞いてみて下さい。
そして、この主計町界隈は、1本細い裏通りに入ると、とても風情のある町家の佇まいを味わうことが出来ます。
さらに奥へ歩いて行くと見えてくるのは「暗がり坂」という石段です。
かつて町の旦那衆が、夕闇が迫る頃、この坂を下りて花街へ出かけていきました。
この季節、桜の花に彩られたこの街並みを、みなさんにも是非とも味わって頂きたいです。
あの頃と変わらない桜の花たちが、あなたが会いに来てくれる日を待ち侘びています。
そして、この日は快晴の青空に、一筋のひこうき雲が・・・・
by staff K